「~へ」と「~に」は似ているようでぜんぜん違うものです。
同じような状況で使われたりもしますがよくよく考えてみると、そこに大きな違いがあることがわかります。

結論から言うと

「~へ」はある方向を示すもの。
「~に」はそれ自体に到達点を内包するもの(たとえそれが予測されるものであるにせよ)。

ということ。

分かりやすい例としては、過去のこととして、面と向かって誰か「に」1円玉を手渡した場合。
この場合、普通は

「~へ1円玉をわたした。」

とは言わずに

「~に1円玉をわたした。」

と言います。

「~へ1円玉をわたした。」と言うこともある、と主張するのは間違い。それは誤用です。
言う方も聞く方もしっくり来ないことと思います。
日本語として正しくは「~に1円玉をわたした。」と言わなければなりません。

さらに言うと、

「カラスに油揚げをさらわれた。」

とは言いますが、

「カラスへ油揚げをさらわれた。」

とは決して言わないでしょう。
これは油揚げが既にカラスに持って行かれておそらくカラスの胃袋に「到達」しているはずだから。

一方、たとえば神様にお供え物を捧げる場合は

「神様にお饅頭をお供えした。」
「神様へお饅頭をお供えした。」

のどちらも有り得ますが、これはお供え物がまだ神様に到達していないから。

このように、「~へ」は方向は示すが対象とは離れている場合、「~に」は到達していることをも意味していて対象と同じ場所にある場合、ということが分かります。

「~へ」と「~に」の違いについて思う処を書いてみました。

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2014年1月19日